公立はこだて未来大学特別講演会2024
「気付いてからでは遅い!歯周病と糖尿病の密接な関係~診療所と市民をつなぐ、“デジタル×予防”の可能性〜」フォトレポート
2024年12月5日、公立はこだて未来大学講堂にて、歯周病と糖尿病の関係性をテーマにした市民向け特別講演会が開催されました。
函館では、その地で開業している福田歯科医院とたかさわ糖尿病内科クリニックがタッグを組み、歯周病や糖尿病が疑われる患者を相互に紹介し合う「医科歯科連携」の実践がなされています。
本イベントは、「予防歯科」の共通項を持つ福田先生と富士通が起点となり、地域の大学や行政とも連携した異色のコラボレーション企画となりました。
美しい海と山に囲まれ、美味しい食べ物や魅力的な観光スポットも豊富な函館。そんな土地で生涯に亘って健やかに暮らしていくために、市民一人一人が明日から実践できることは何なのか。産学官民が一堂に会し、自分ゴトで考えるきっかけの場となりました。
開催概要
- 演題
気付いてからでは遅い!歯周病と糖尿病の密接な関係 ~診療所と市民をつなぐ、“デジタル×予防”の可能性~ - 演者
第一部:講演
福田 幹久 院長(福田歯科医院)
高澤 宏文 院長(たかさわ糖尿病内科クリニック)
第二部:パネルディスカッション
上記2名に加え
大泉 潤 函館市長
安井 重哉 教授(公立はこだて未来大学 司会進行) - 開催場所
公立はこだて未来大学 講堂(函館市亀田中野町116番地2) - 開催日時
2024年12月5日 (木) 18:30 ~ 19:30
第一部の講演では、福田幹久先生と高澤宏文先生より、そもそも歯周病と糖尿病はどのように密接に関係しているのか。口腔から全身の健康を守るために必要な知識・予防法とは。函館で今実践されている医科歯科連携、さらには未来のあるべき医科歯科連携とは何かについて、熱く語っていただきました。
第二部のパネルディスカッションでは公立はこだて未来大学 安井重哉教授がモデレーターを務め、二人の先生方に大泉潤市長も加わって大いに盛り上がりました。福田先生が冒頭、健康づくり計画を示す『健康はこだて21』より、函館市民の歯周病や糖尿病の罹患状況について課題提起するところから議論は開始。現実のデータを眺めながら、函館市を健康先進市にするためにはどのようなアプローチができるか、和やかかつ闊達な意見交換が行われました。
講演・パネルディスカッションの主なポイント
- 歯周病は万病のもと。糖尿病や脳卒中、心筋梗塞などの全身疾患と密接に関係している
- 予防の第一歩は、「自分・リスクを知ること」
福田先生からは、富士通Japan株式会社が提供するむし歯・歯周病のなりやすさチェックツール「デカゴン」を活用した、個々に応じたリスクの可視化や患者(住民)のリテラシー教育に対する取り組みを紹介。 - 大泉市長は「Floss or Die(フロスか死か)」というキャッチコピーに衝撃を受けて以来、デンタルフロスを使うように。市民の健康実現にはポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの両面が必要で、無関心層へリーチするためにはゲーミフィケーションやデザイン、デジタルの力も有効活用していきたい
- 糖尿病(医科)と歯周病(歯科)、それぞれの医療機関や患者が相互に連携することで、さらなる早期発見や重症化予防につながる(医科歯科連携がまだまだ浸透していないことが課題)。福田先生と高澤先生が実際に連携した患者さん(匿名)の症例データが示され、歯周基本治療の継続に伴ってHbA1c推移と糖尿病状態が明らかに改善された実例を紹介
- 現在は患者の情報が医療機関ごとに分断されており、うまく連携されていない。患者が自らの医療情報を保有し、自身の健康に対する意識を高め、ムリムダを省いた患者中心の医療連携モデルを函館発で目指していきたい(函館医療構想)
会場では公立はこだて未来大学の学生や職員、函館市内外の住民や歯科医療従事者など、幅広い層の参加者が聴き入っていました。自分や大切な人の健康のために学びに来た人、函館市をより良くしたい想いで自分にできることを考えに来た人、動機はきっと様々なものの、何かを考えてみるきっかけになったのではないかと思います。
講演会の開始前、安井教授との雑談で「正しい仕事に人は集まる」という言葉を教えていただきました。
福田先生と高澤先生が患者さんの利益を追求し、情熱を捧げ取り組む「医科歯科連携」。
今回の講演会を契機としてさらに共感の輪を広げ、仲間を増やし、患者中心の医療構想を現実のものにしていく。
嬉しいことに講演会後のアンケートでは、「今回知った課題について大学のプロジェクト学習テーマとして導入し、市と一緒に考えていきたい」という前向きな感想を複数の学生さんから頂戴しました。
地域でのモデルづくりから日本の社会課題克服へ。
想いを持つ人が集う「正しい仕事in 函館」、乞うご期待ください!
