制度の外から問い続けた臨床家の記録。
── 現場と制度のあいだに立ち続けた熊谷崇、その歩みをたどるオーラルヒストリー
現場を知る者だけが、制度の不備を変えられる。
制度の内側で守られることを選ばず、外側から“よりよい医療”を問い続けた臨床家──熊谷崇先生。彼の生き方は、歯科衛生士の職能を押し広げ、日本の予防歯科を根底から揺さぶった。
彼はいつでも制度の内側に安住するのではなく、制度の枠組みを超えて患者中心の医療を模索し続けました。特に歯科衛生士による縁下歯石除去の是非をめぐる議論は、歯科医療の在り方そのものを問い直す大きなテーマとなりました。
この連載では、熊谷先生の実践と、その周囲で制度改革に関わった人々の記録を通して、歯科衛生士の職域・専門性がどのように拡張され、制度として整備されていったのかを、一次資料と当事者の証言をもとに丁寧にたどります。
制度と実践、その接点に立ち続けた臨床家の姿を後世に伝えるための、静かな記録です。

掲載予定章立て(全8章)
- 第1章:制度のねじれ ― 熊谷崇が問い直した「歯科衛生士と縁下歯石除去の不可視性」
- 第2章:スウェーデンの衝撃 ― 熊谷崇が持ち帰った問い
- 第3章:制度の内部からの改革 ― 石井拓男と「実態の提出」
- 第4章:技官の論理 ― 「診断か補助か」の線引き
- 第5章:制度改革の成果と、いまも残る課題
- 第6章:制度改革が息づいた現場 ― 日吉歯科診療所の診療体制と人材育成
- 第7章:日本型予防歯科モデルの構築 ― 熊谷崇の理念と実装
- 第8章:制度と実践をつないだ記録を、次の世代へ
これは、歯科医療の歴史の一部を、現場からの視点で記録したオーラルヒストリーです。
歯科衛生士の職域、そして予防歯科の未来を考えるすべての方へ。
文責:クレセル株式会社 / 一社)JOF 伊藤日出男
