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最高のトゥースペースト発見!

 今まで使った中で最も素晴らしいと思えるトゥースペースト(歯磨き粉)を見つけました! それはフィンランド製で ”Salutem” というブランド名で売られています。特にお口の粘膜が敏感な人やドライマウスの方用に作られたものですが、赤ちゃんからお年寄りの方まで誰にでも使っていただけます。何がそんなにいいかというと、泡立たず、味が甘いだけで、肝心のフッ化物も6歳以上用には1,450ppm入っているのです。

 日本で売られているトゥースペーストにも、泡立たず、刺激を弱くして作られているものもありますが、全くミントの味がないものというのはなかなか見当たりません。海外製品でもなぜかほとんどすべて刺激のある味がついています。おそらく、このミント味により消費者は清涼感を得られ、口臭も気にならなくなるとメーカーは思われているのでしょう。

 しかし、トゥースペーストの最も大事な役割はフッ化物によってむし歯を予防することです。トゥースペースト内にあるフッ化物を最大限利用するために、いくつかの方法が提案されていますが、その中でも歯磨きした後の行動が大変重要で、フッ化物をお口の中から洗い流さないでほしいのです。そのトゥースペーストをお口の中に入れたまま、歯と歯の間にフッ化物が入り込めるように少量の水を含ませて、フッ化物の入ったトゥースペーストと一緒にグチュグチュと勢いをつけてお口全体に行き渡らせるようにしましょう。むし歯になりやすい部分は歯と歯の間など、なかなか歯ブラシではフッ化物が届きにくい部分です。

 その後は嗽をしない、飲食もしないという時間を1時間以上持続していただくのが理想的です。そこで泡立たない、味が辛くないトゥースペーストなら、違和感なくそのままにしていられますね。この時にちょっとでも泡やピリピリとした味が口の中に残ると、気持ち悪いもので、どうしても嫌な人は少量のお水で濯いでも良いのですが、フッ化物の効果は減少してしまいます。

 現在、ヨーロッパではトゥースペーストからラウリル硫酸ナトリウム(SLS)という界面活性剤を取り除く傾向にあります。これがトゥースペーストの泡立ちの元ですが、粘膜が敏感な人やドライマウスの人には刺激が強過ぎて厄介なシロモノなのです。”Salutem” は早くからSLSを取り除いています。その他にも ”Salutem” に入っていない成分は香料(エッセンシャルオイル)、保存料(4-ヒドロキシ安息香酸)、着色料(二酸化チタン)です。

 反対に ”Salutem” に入っている特徴的な成分はキシリトールとベタインです。キシリトールはお馴染みのむし歯にならない甘味料ですが、この甘味のおかげで歯磨きしている間に唾液がたくさん出て、少量のお水を加えなくても歯と歯の間にフッ化物が入っていく感じがします。ベタインは植物や海産物などに存在する自然の物質で、保湿の役割があります。

 ”Salutem” は日本ではまだ売られていないのですが、是非、どこかの会社で輸入してもらいたいものです! 盗作は駄目ですよ。


写真説明

フィンランドで ”Salutem” をたくさん入手しました!
試してみたい方は、NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(旧称 「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」)(PSAP)までご連絡ください。
メールアドレス:psap(アットマーク@) psap.tokyo


参考サイト

https://www.salutem.fi/english


References


  1. Pitts, N., Duckworth, R. M., Marsh, P., Mutti, B., Parnell, C., & Zero, D. (2012). Post-brushing rinsing for the control of dental caries: exploration of the available evidence to establish what advice we should give our patients. British Dental Journal, 212(7), 315-320.

  2. Rantanen, I., Nicander, I., Jutila, K., Ollmar, S., Tenovuo, J., & Söderling, E. (2002). Betaine reduces the irritating effect of sodium lauryl sulfate on human oral mucosa in vivo. Acta Odontologica Scandinavica, 60(5), 306-310.

筆者プロフィール

Makiko NISHI

西 真紀子 NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(PSAP)理事長
(旧称 「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」)

1996年 大阪大学歯学部卒業
     大阪大学歯学部歯科保存学講座入局
2000年 スウェーデン王立マルメ大学歯学部カリオロジー講座客員研究員
2001年 山形県酒田市 日吉歯科診療所勤務
2007年 アイルランド国立コーク大学大学院修士課程修了
Master of Dental Public Health (MDPH)取得
2010年 NPO法人「科学的なむし歯・歯周病予防を推進する会」(PSAP)理事長
(旧称 「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」)
2018年 同大学院博士課程修了 
   Doctor of Philosophy(PhD)取得