NEWS バックナンバー
【2021.1.28 開催】予防歯科Live・オンラインセミナー【レポート】
予防歯科の価値訴求に向けた新たな取り組みのご紹介

開催内容
2021年1月28日(木)
- 18:30-18:35
- ご挨拶
- 18:35-18:55
- 富士通の予防歯科の取り組みについて
【富士通株式会社】 - 18:55-19:15
- Live Update.1
・M,デンタルクリニックのクラウドの捉え方【丸山 知里さん(M,デンタルクリニック松野歯科 山梨県甲斐市)】 - 14:55-15:15
- Live Update.2
・新機能「診査結果報告書」を使用しての患者・当院の感想
・富士通予防歯科クラウドサービスの活用方法 ~COVID-19流行下における非接触の情報提供について~
【遠藤 純聡先生(ホワイト歯科 埼玉県上尾市)】 - 19:35-19:45
- 富士通予防歯科クラウドサービス ~新サービス導入に向けたご紹介~
【富士通株式会社】 - 19:45-20:00
- QA対応/ディスカッション
講演ダイジェスト
富士通の予防歯科の取り組みについて
~予防歯科が当然になる社会を共に目指して~
乗次様(富士通株式会社ヘルスケア事業本部)

私達は富士通健康保険組合と連携し、全国の富士通グループ社員とOP医院を繋げる取り組みを展開しております。ただ単にOP医院を紹介するだけではなく、社員が予防歯科の必要性を理解し、自ら行動変容を起こすことが重要であると考えております。そのために定期的に社員向け予防歯科セミナーを開催し、OP歯科医師を講師としてお招きしております。その結果が実を結び、昨年より当社の健康経営方針に「予防歯科の取り組み」が含まれることになりました。 以前は地区別に実施してきた予防歯科セミナーですが、2021年4月より富士通グループ全体に拡大することになりました。また予防歯科をより身近なものにするべく、IoT歯ブラシメーカーとの連携も進めております。これまで当社が培った経験やノウハウをモデル化して、他企業へと拡大し、本取り組みの輪をさらに大きくしていきたいと考えております。
今後も富士通は日本に広く予防歯科を普及させるために努めてまいります。本取り組みは歯科医院の皆様のご協力なくしては実現できません。ぜひご支援ご賛同の程よろしくお願いいたします。
予防歯科プロジェクトのこれまで
大浦様(富士通株式会社ヘルスケア事業本部)

【歯科クラウドの変遷】
- 2017年
- ・熊谷崇先生(日吉歯科診療所:山形県酒田市)と出会う
・歯科クラウドサービスの開発、提供開始 - 2019年
- ・資料作成向け「歯の健康ファイル」テンプレートを提供
- 2020年
- ・新機能「診査結果報告書」を提供開始
乗次のご案内通り、システム改善と平行し社内関連部門とも連携を進めております。富士通健保組合では社員のメインテナンス費用補助や予防歯科セミナーを開催し啓発・啓蒙に努め、さらに2020年度の健康経営方針には「予防歯科」が加わり、全社員を対象に取り組みを強化しております。
【2021年度の取り組み】
さらなる予防歯科の普及のため富士通健康保健組合と連携し、社員向けの歯科検診制度をOP医院に受入元になっていただく仕組み作りを構築中です。またOP医院と一緒に予防歯科啓発セミナーを実施し、企業連携を通じた新たなサービスの創出に挑戦していきたいと考えております。そしてこの仕組みをモデル化して他の健保組合・企業への展開も進めて参ります。本取り組みは当社だけではなく、OP医院の皆様と一緒に予防歯科の認知・普及に努めて参りたいと思います。ぜひご支援ご協力の程よろしくお願いいたします。
M,デンタルクリニックの歯科クラウドサービスの捉え方
丸山 知里さん(M,デンタルクリニック松野歯科 山梨県甲斐市)

当院は2003年の開業です。当時の日経BP社のアンケートによると、医療機関が好まれる最大の理由は「医師の説明のわかりやすさ」でした。そこで開業時にはまだ珍しかった口腔内カメラ・画像管理ソフトを利用し、情報提供に徹してきました。その理由は、患者の行動変容を促すと同時に、私たちの歯科医療を理解してもらいたいという思いからです。
導入当初、健康ノートからクラウドへの切り替えに不安もありましたが、クラウドの優れた点は紙媒体では限度があった、レントゲンや口腔内画像を高画質で提供できるうえ、口腔の改善具合も履歴で確認できる点です。そのため患者は「健康とは如何なるものかを実感しやすく、その状態を維持することの意義」に気付いていただけます。
当院でクラウドサービスをご利用いただくまでの流れ。
- 問診票にメールアドレスを記入していただく
- 当院からクラウド登録依頼メールを送信する
- 受信メールより登録手続きを行う
- 各チェアサイドの画像管理ソフト搭載PC端末にて、画像データにコメントやイラストを加えて、そのデータを抜き取る
- クラウド作業専用のPC端末にデータを入れて、患者さんの端末へと送る
導入当初は高齢者からの抵抗を感じましたが、今ではどの年代の方でもスマホやPCを利用されているため、登録後は問題なく利用されています。多くの患者の感想として「頻繁に自分の口の写真や歯周検査結果を見ることはないが、情報を開示してくれていることに安心し満足している」との声をいただいております。また安心して通っていただける様に、院内のコロナ感染予防対策を動画にまとめてクラウドで発信しています。今後も患者自身の情報だけでなく、院内の取り組みについても発信していきたいと考えております。本日、皆様に一番お伝えしたかったことは「クラウドサービスは患者さんと“情報の共有”だけではなく“価値の共有”ができる」ということです。
新機能「診査結果報告書」を使用しての患者・当院の感想
クラウドサービスの活用方法 ~COVID-19流行下における非接触の情報提供について~
遠藤 純聡先生(ホワイト歯科 埼玉県上尾市)

当院は2009年に開業し、2013年にオーラルフィジシャン育成セミナーを受講しました。本題のクラウドサービスについては2017年のサービス開始当初より導入しております。また医院の外看板にはお馴染の「KEEP28 全ての歯を守ろう!」のロゴを掲げております。
【当院のクラウドサービスの捉え方】
- 患者が自身の口腔健康状態を理解し自己解析するもの
- 医療者が資料を作成する過程で患者の状態をより理解するもの
- 診療所と患者を結ぶツール
我々利用者も資料を作成する過程で、より患者の状態を理解できます。やはり患者毎にパーソナライズされた資料を作成しておりますので、性別・職業・生活リズム等も考慮してコメント等も記載しております。
以前はメインテナンスの来院サイクルだけでは、モチベーションを保つことが難しい患者が一定数おりました。その対策として、次回来院されるまでの期間に、クラウドで情報提供を実施することにしました。このワンクッションを入れることでモチベーション維持にも効果が表れ、ドロップアウトされる患者が減少いたしました。
【モチベーションアップに必要なこと】
- クラウドデータをチェアサイドで一緒に確認し解説する
- 患者さん自身の端末で確認することで、初めて自分事として捉えることができる
- 来院時以外もこまめにデータ提供をすることが非常に有効
当然ながらデータ提供の回数が多いと衛生士の負荷も増しますので、当院も模索しながら実施しております。
【モチベーションアップの事例】
- 口腔内写真を自宅でじっくり見ることができ、「銀歯の数の多さや、自身の口の汚れを実感し改善したい」と思った。
- 子どもの検査結果を親が見ることでリスク状態がわかり、管理できるので助かる。
- 喫煙と歯周病に関連があることを資料を通して理解でき、禁煙に成功した。
診療所では「恥ずかしさもあり口腔内写真をじっくり見ることはないのですが、スマホ端末の場合簡単に拡大でき細部まで確認できるのが良い。」とのご意見や、お子さんの場合は親御さんのアドレスにクラウドデータが届きますので「安心します。」と好評をいただいております。
【新機能「診査結果報告書」を使用して(2020/09/03リリース)】
- 私の歯は何本残っていますか?
- 神経を取った歯は何本ありますか?
- 私のむし歯は何本ですか?
この様な質問を良くいただきます。患者は残存歯数や無髄歯の数を通して、自身の口腔の状態に興味を持っていることがわかります。私もその都度答えているのですが、毎回聞かれることも少なくありません。これを自分事にして解決してくれるのが「診査結果報告書」です。本システムは直感的でわかりやすい診療カルテが表示されます。むし歯や治療済みの歯の本数でしたり、折れ線グラフで患者の残存歯数やDMFT指数を全国平均と比較することができます。
【患者さんの声】
- 1本も歯を抜いたことがなく大丈夫だと思っていたら、無傷の歯が7本しかなくて焦った。
- シンプルな情報で見やすいため過去の状態と比較しやすい。
- 歯肉炎のある歯の本数が多いので減らしたいと思った。
- 歯周ポケットが%ではなく本数で表示されるので分かりやすい。
- 残っている歯の数が平均より少なくてショックだった。今後は1本失いたくないと思った。
様々な声がございますが、やはり本数で表示されるため非常にわかりやすいと好評です。「診査結果報告書」は患者に自己解析を促すことができるので、自分事として捉える良いきっかけになるのではないかと思っております。
【歯の健康ファイルと診査結果報告書を比較すると・・・】
歯の健康ファイル
- 資料作成に時間がかかる
- 診査結果を全て自分の手元で確認することが可能
- 歯科の知識を高めることができる
診査結果報告書
- 簡単に作成できる
- 必要最低限の情報を短時間で確認できる
- 診療所と患者双方がクラウドサービスに慣れやすい
【コロナ禍のクラウドサービス活用法】
感染症対策として、タッチレスで使用できるツールを探していたところ、歯科クラウドサービスを導入していることに気付きました。クラウドは「歯の健康ファイル」「診査結果報告書」を患者と共有できるだけでなく、そもそもが情報提供サービスですので、医院独自の資料も自由に共有できるのです。
以上のことからも、以前は紙でお渡ししていた料金表、治療計画書、同意書等をクラウドサービスを利用して提供しています。この様に感染症対策の一環としても活用できますし、結果的にプリントの削減になりペーパーレス化も図れました。今後はこれに留まることなく、新たな活用法を見出したいと思っております。
オーラルフィジシャン育成セミナーについて
松野英幸 先生(M,デンタルクリニック松野歯科 山梨県甲斐市)

オーラルフィジシャン育成セミナーは、2004年に山形県の日吉歯科診療所でスタートし、これまでに57回開催されました。2004年~2021年までの歯科状況の変容といえば、当時12歳時のカリエスは2本だったのが、現在は0.2本になり、約10分の1に減少しています。そして80歳の残存歯数においては、当時8本だったのが約15本と倍増しています(歯科疾患実態調査:厚生労働省)。やはりこれも熊谷崇先生が書籍やメディアを通して、啓蒙を行ったり、予防歯科に勤しむ受講生を、全国に排出していった結果による賜物ではないかと思っております。そして、この57期で酒田での開催は終わりとなり、58期以降は僭越ながら私が引き継ぐことになりました。
願いとしましては、熊谷崇先生が約20年近く携わってこられたこの活動を絶えることなく引継ぎ、今後も皆さんと一緒に共有していきたいと思っております。そして企業の方々にも、私達の医療の質に注目していただき企業連携が始まりました。ご興味のある方は、ぜひオーラルフィジシャン育成セミナーを受講していただき、私たちの仲間となっていただけましたら幸いです。
【歯科クラウドサービスのご紹介】
前野様(富士通株式会社ヘルスケア事業本部)

当サービスは医院から患者に口腔資料を提供するサービスです。医療情報は個人情報の中でも厳重に取り扱う必要があり、国が定める医療情報取り扱いガイドラインに準拠したVPN回線(暗号化)を用いるため、安全性に配慮しております。患者資料の提供方法は大きく分けて2通りです。
1.「歯の健康ファイル」
- 個々の患者向けに送りたい写真・レントゲン・各種資料やコメント入力を行い提供する。
2.「診査結果報告書」
- 歯の本数、治療本数、PCR 等の必要最低限の情報を簡単に素早く入力し提供する。(カテゴリー分けされた歯の本数の入力ですので、チェアサイドにて短時間で行える)
- 初診時の口腔状況から、治療・メインテナンスを経た口腔状況をデジタルで蓄積。患者自身の口腔に関する関心・理解を高めていくツールとなります。何より、チェアサイドにて歯科衛生士と患者のコミュニケーションツールとしてご利用いただきたいです。
診査結果報告書は、患者目線で誰が見ても分かりやすい直感的な資料です。これにより自身の口腔内の興味関心や、予防歯科の理解を深めていただければと思っております。
【運用支援向けサービス】
前述の「歯の健康ファイル用テンプレート」(pptファイル)を提供しております。テンプレートに画像を挿入したり、コメントをご記入いただきご利用ください。 尚、テンプレートはMTMに沿って(初診時、初期治療、再評価1、再評価2、メインテナンス)ご用意しております。また、テンプレート以外のファイルも患者さんと共有できますので、貴院オリジナルの資料がございましたら、そちらをご利用いただいても構いません。運用方法は各医院様にお任せしております。その他に「院内掲示用ポスター」や「患者登録用リーフレット」等の配布資料データもご用意しておりますので、クレセル社までお問い合わせの程お願いいたします。
セミナーを終えて
富士通株式会社

当社が予防歯科に取り組む目的、意義について、まだまだOP医院の皆さまにご理解いただけていないと感じおります。当社の取り組み、提供するサービスにおいては、定期的に情報発信させて頂きますので、次回以降の当社セミナーへの参加をお待ちしております。
SATオンラインセミナー「Post Oral Physician Seminar」第3期、第4期の募集を開始しました。
このセミナーは、オーラルフィジシャン育成セミナーを受講し、自院でMTMを実践している医院の方々を対象としたセミナーです。
趣旨: MTMの運用を再構築、あるいはブラッシュアップする
特徴: 問題・失敗を発表しあい、参加者が共に成長できる機会を提供する。少人数に対して複数のアドバイザーから多角的に意見を聞ける。 用意されたフォーマットにしたがって、自院のこれまでの取り組みと課題を発表していただくことで、今後の診療方針や医院経営について理解を深めていただくことができます。
講師やアドバイザーへの質問、参加した他の医院とのディスカッションを通じて、日頃の悩みや疑問点を共有し、解決の道を探ることもできます。
・開催日程
第3期:1回目:2021/05/16(日)→2回目:2021/10/17(日)
第4期:1回目:2021/06/20(日)→2回目:2021/11/14(日)
・参加費用 110,000円/1医院(3名まで)
くわしい情報やお申しこみは下記のページよりお願いします
>Post Oral Physician Seminar
終了【3/11開催】富士通社員の歯科検診受入に伴う説明会

ご挨拶

貴院ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃より、私ども富士通の予防歯科への取り組みへのご理解、また、歯科クラウドサービスのご利用を賜りまして厚くお礼申し上げます。
先般、富士通社員の歯科検診受入元医院様を募集しておりましたが、2021年4月~の歯科検診受入に伴い、本取り組みの概要、検診制度等の説明会を開催いたしますので、ご案内申し上げます。
本取り組みは、社員の予防歯科の認知・理解を高め根付かせることを目的とした活動です。その入り口として、歯科検診対象社員が予防歯科医院で歯科検診【受診の】際に、富士通健康保険組合がその費用負担を実施するものとなります。
(当日は、上記についてご説明いたします。)
その後、必要に応じた治療・予防について社員が通い易い予防歯科医院に通院してもらうことで口腔の健康維持や広くOQLの向上を目指す活動となります。
広く予防歯科医院皆さんのご理解並びにご支援を賜ります様、何卒よろしくお願い申し上げます。
(3/9火15:00まで)
セミナー情報
日時
- 3月11日(木) 18:30~20:00
開催形式
- オンラインセミナー
式次第 (変更となる可能性もございます)
- 富士通よりご挨拶
- OP医院よりご挨拶(M,デンタルクリニック松野歯科 松野英幸先生)
- 富士通健康保険組合より歯科検診制度について(ご説明)
- 歯科健診受け入れに向けたお願い(条件など)
新たなイノベーションに賛同する意義

松野 英幸先生
(M,デンタルクリニック松野歯科 山梨県甲斐市開業)
- 1996年
- 徳島大学歯学部 卒業
- 1996年
- 名古屋大学頭頸部感覚器外科所属
- 2001年
- 名古屋大学大学院医学系研究科 修了
- 2003年
- M,デンタルクリニック松野歯科 開設
メッセージ
クラウドシステムは、生活者と歯科医院の間の情報格差を埋める大きなイノベーションとなりました。
前例のないインターネットを介した診療情報の共有が生活者の理解度と意識を高め、さらに双方向の情報提供を可能にしたことが医院の透明性を担保し、最も大切な信頼関係を構築しました。
受診者へのメインテナンス提供が容易になった、健康維持のサポートもし易くなったというクラウド導入医院からの声は、システムの有用性を裏付けるものでした。
しかしこれからの流れは大きくスケールアップし、社会的イノベーションへと発展します。
社員教育→歯科検診(Op医院・健保組合サポート)→自らの健康管理(Op医院・健保組合サポート)
生活者の、生活者による、生活者のための新しい健康維持・増進の仕組みです。
将来的には日本全体での標準化を目指していますが、先ずは富士通がその先駆けとなります。
OP医院がこの取り組みに賛同する意義は、決して富士通社員の受診による経済的な恩恵ではありません。
かつて皆さんがOp医院への転換を計り、幾つもの困難を乗り越えた物語があるように、富士通にもクラウドシステムの開発から今に至るまで、困難の物語があります。この物語の切っ掛けは、いずれも自らの理念にそった生き方を選択したことでした。
自らの可能性を信じ、長期的な視野から向上の継続と卓越性を追求し、社会に貢献しようとするオーラルフィジシャンの信条が、今私たちを社会変革の一翼へと導いています。
この共通する経験と理念から生まれる社会的イノベーションがもたらす未来では、日本全国に健康維持のために歯科医院に通う文化が根付いています。その実現を可能にするのは、誰あろう我々オーラルフィジシャンに他ならないのです。
全てが、3月11日(木)の説明会から始まります。
皆さん、どうぞご参加下さい。
参考情報
2021年4月以降、本歯科検診を名古屋地区、首都圏、他地区へ導入を進めて行く方針で検討しております。
(賛同いただける地区の医院数により、開始時期は異なります。)
本取り組みを富士通関連のホームページ等で告知し、検診者以外の家族等の受診にも広がりを持たせるよう、オーラルフィジシャン医院の取り組みを富士通が支援すると同時に、富士通は、社員の口腔予防への意識向上、そしてメンテナンスに通う文化(世界)をOP医院の皆さまと作りたいと考えております。
ぜひ、ご支援、ご協力程お願いいたします。
参加者アンケート結果

富士通歯科クラウドサービス・オンラインセミナー 【2020.9.3 開催】レポート
予防歯科の価値訴求に向けた新たな取り組みのご紹介

開催内容
2020年9月3日(木)
- 14:00-14:05
- イントロダクション
- 14:05-14:25
- 富士通の予防歯科の取り組みについて
【富士通株式会社】 - 14:25-14:55
- 福田歯科様の先進的クラウドサービス提供
【福田 幹久先生(北海道函館市開業 福田歯科医院)】 - 14:55-15:15
- クラウドサービスの新機能「歯の診査結果報告書」を監修して
【畑 慎太郎先生(東京都西東京市/アップルデンタルセンター)、富士通株式会社】 - 15:15-15:25
- 休憩
- 15:25-15:40
- 富士通健保組合と連携した社員の歯科検診の取り組みについて
【富士通健保組合】 - 15:40-15:55
- 歯科関連企業様よりご説明
【藤里取締役(NOVENINE)】 - 15:55-16:15
- 新Webサイト及びサービス導入に向けた詳細説明
【クレセル株式会社】 - 16:15-16:30
- 質疑応答
オンライン配信のようす
- 富士通株式会社(汐留オフィス)の会議室より配信を行いました。

講演ダイジェスト
富士通の予防歯科の取り組みについて
富士通株式会社

「企業の考える健康経営とは」「企業の期待する歯科医療とは」企業の視点から富士通社員に、歯科医院に、社会に向けての情報発信を2016年から開始して、今回で7回目の開催となる富士通クラウドセミナー。
富士通がこの取組を開始したのは、山形県酒田市で開業する日吉歯科診療所の熊谷崇先生からの「予防歯科の普及には患者教育が必要」という声に応えたもので、クラウドを活用してオーラルフィジシャン医院と富士通社員、企業、社会をつなぐ仕組み創りを始めました。
2016年当初は、クラウドを介して患者・生活者の予防歯科の習慣化と常態化を促進することと、予防型歯科医院においては、予防歯科教育の質の向上と口腔の価値を健康データで証明できるようにすることを目標としていました。この仕組みを作り広げて社会をよりよく変えていくオーラルフィジシャン医院のパートナーが富士通の立ち位置です。
2020年現在は、従来の企業連携の強化に加えて、1)~2)の取組を開始しております。
歯科クラウドサービスの機能強化として、必要最小限の口腔内情報を視覚的により分かりやすく1枚にまとめ患者の行動変容を促す「診査結果報告書」の提供。さらに蓄積されたデータは患者単位、診療所ごとの統計分析が可能になりました。
1) 富士通健保組合と連携して、オーラルフィジシャン医院で富士通社員の歯科検診を行うトライアルを開始。その背景には全国の健保組合の年間医療費のうち4,750億が歯科に費やされダントツで1位であること。会社員がリタイア前にやるべきだったと後悔するランキング1位が歯の治療であることが、ある雑誌の調査で判明したことがあります。まず東北地域を皮切りに、愛知、東京、神奈川、千葉、埼玉で富士通社員の歯科検診先としてオーラルフィジシャン医院を募っていきます。
2) NOVENINE社の口臭測定機能のあるIOT歯ブラシ「SMASH」を富士通クラウドと連携させ、プロフェショナルケアとホームケアの相乗効果をあげていきます。
福田歯科様の先進的クラウドサービス提供
北海道函館市開業 福田歯科医院 福田幹久先生

人生100年時代におけるライフスタイルの転換期が叫ばれ、口腔と全身の健康の関連も明らかになりつつあります。そしてCOVID-19は全ての生活者が健康を考え直す契機となり、歯科医療の安全性が今まで以上に問われる時代に、歯科医療はどうあるべきでしょうか。
ともすれば歯科業界は時代に逆行する傾向もありますが、福田歯科では人生100年時代を「いかによく生きるか」に特化した患者教育を実施。患者さんが口腔の健康を自分事化するために、ライフステージ別に健康の意義づけをして、さらに患者情報を個別化しています。
そのようなオーダーメイドな患者情報を、場所と時間を問わないクラウドの双方向性という特徴を活用して、患者さんが生活の中で自然と口腔情報や歯科教育に触れる機会を増やすことにつとめています。そうすることで、患者さんは歯科医療者の指示に盲目的に従うのではなく、その決定と指示に患者さん自らの意思で行動するようになってきます。
口腔の健康が自分事化されたなら、口腔の健康を全身の健康に関連させていくことが次のステップ。歯周ポケットの深さと歯周ポケット測定時の出血から算定されるPISAと歯周病菌の酵素活性を測定するアドチェックを、患者さんの今のリスクを知るバロメーターとして、それが全身にどのような影響があるか、クラウドを通じて積極的に動画などでイメージづけをしています。こういった一連のアプローチは、紙媒体では難しく、クラウドだからこそ可能になりました。
クラウドによる情報提供と教育は、どんな治療技術よりも社会の広い層に歯科医療の価値を訴求できる上に、個々の患者さんを口腔と健康情報に対して自分事化に導いてくれます。
クラウドサービスの新機能「歯の診査結果報告書」を監修して
東京都西東京市開業 アップルデンタルセンター 畑慎太郎先生、花岡 佑み子さん(歯科衛生士)、富士通株式会社

OECDの調査からは日本の歯科医療は費用の安さと通院回数は世界一。しかし、その結果としての口腔内の状況はよいものではなく、80歳で20本の歯を残そうという8020という啓発運動が展開されました。しかし、人生100年とされる時代に、この目標では十分とは言えません。私たちオーラルフィジシャン医院は、高齢になっても全ての歯を守り失わないという新しい価値観、KEEP28を社会に広めていきます。
それには、・20歳までのカリエスフリー・20歳からの歯周病フリー・歯科医院のかしこい利用方法を知ること・粗悪な治療を避けることが求められます。歯科医療は、自分の口腔内の状況を知り、口腔内のリスクを学び、必要な治療を受け、そしてメンテナンスを続けるという一連のプロセスが大切です。しかし、そのプロセスの中で、削る詰める治療ばかりが歯科医療の価値とされる時代が長く続いてきました。この錯誤を断ち切って、治療を「知る・学ぶ・(メンテナンスを)続ける」というMTMのプロセスの中の一行程とすることで、KEEP28の達成は近づいていきます。医療者の指示に従う治療中心の歯科治療とは違い、MTMは、「知る・学ぶ・続ける」という患者さんの意思決定が求められます。さらに患者さんの歯科医師に対する信頼感と診療の自分事化によって成り立ちます。その信頼感と自分事化を醸成していく媒体がクラウドです。
クラウドにより患者さんの情報量は増えますが、その理解度にばらつきがあります。その理解度の違いを埋め、さらに理解を深めることを目的として開発されたのが「歯の診査結果報告書」です。その特徴は、・歯式歯番を使用しないで歯の本数で訴求すること。・検診、初診検査後、治療過程、メンテナンス時といったあらゆるシーンに対応できること。・患者さんが、むし歯の穴が開いた歯の本数など様ざまな状態の歯をその本数で表していることにより視覚的に理解できるため、家族や知人などに説明しやすく、患者さんが社会への予防歯科の伝達者になってくれることです。
このように患者さんが歯への理解度を深めみずから行動をするように導くことが、予防歯科の未来形です。歯科医療者は患者さんと1対1の関係だけではなく、歯科医療者と患者さんの間にいる人や組織に分かりやすい数字を示すことで予防歯科を普及させるステークホルダーとすることも視野に入れてほしいと思います。「歯の診査結果報告書」はその先駆けで、そこからの集計・統計・分析がステークホルダーを動かし、歯科医療の価値を変えていくのです。
その結果「年を重ねても歯を失わない人生」KEEP28が当たり前の社会になるのです。
富士通健保組合と連携した社員の歯科検診の取り組みについて
富士通健康保険組合

富士通健康保険組合は加入者約21万人、年間予算は約700億で年間1人当たり60万円の規模を有しています。富士通グループでは、2017年に社員一人ひとりが心身ともに健康でいきいき働く環境を目指す健康宣言をし、同年、富士通(株)が健康経営優良法人に認定されています。雇用の長期化それに伴う社員の平均年齢の上昇により、「生活習慣病・がん・メンタルヘルス」が健康の重点課題に挙げられ施策が試みられています。
その中でも、当健保の被保険者は全国と比べ歯の状況が悪いことが歯科の課題としてあげられます。例えば30代では、治療を要する歯がある人が全国比で約14%も多い状況です。(公益財団法人ライオン歯科衛生研究所調べ)
従来の歯科検診費用補助制度に加え、2020年からは新規取り組みとして、OP歯科検診をトライアルスタートしました。まずは仙台地区の3医院にご賛同いただき実施中。また社員の意識改革を目的として、東北支社ではオーラルフィジシャン医院の歯科医師・歯科衛生士を招き予防歯科セミナーを開催したところ、参加者は90名に上りアンケート結果の99%が「役に立った」と回答し好評を博しました。
■OP歯科検診の流れ
① 自社開催歯科セミナーに参加
② OP歯科検診の通知が届く
③ 歯科医院を選択し電話予約
④ 歯科検診(本人負担無料)
⑤ 予防歯科医療(希望者)
当健保では予防歯科の取り組みは始まったばかりです。健保の立場上、医療費の抑制や受診率の向上を意識しなくてはなりませんが、それが最終目的ではありません。やはり「人生百年時代」を生き抜くうえで、社員とその家族が健康で豊かな人生を過ごせるように、価値のある取り組みを持続的に行うことが大事だと思っています。その一つが予防歯科の取り組みです。そのためには一人でも多くの歯科医院の方のご支援、ご賛同をいただくことが必要だと考えております。ぜひご協力の程よろしくお願いいたします。
歯科関連企業様よりご説明
NOVENINE 藤里取締役

東京海上日動時代にオーラルフィジシャン向け予防歯科の保険商品開発に携わり、予防歯科の権威・熊谷崇先生との出会いを機に、自分の身近な人の口腔環境を守りたいという思いが募り、NOVENINEに参画。
弊社の主な事業は大きく分けると2つあり、まず一つが「TELE-DENTISTRY」といい歯科のオンライン相談サービスを実施。現在12名の歯科医師が回答を行っています。コロナによる通院機会の減少や初診までの導線としての役割を期待しています。二つ目はIoT電動歯ブラシ「SMASH」の開発。何十年と歯磨きをしているが上手くなったと実感する人は少ないでしょう。それは結果が見えないからであり視認化することで解消されるのではないでしょうか。そこで世界初の口臭ガス計測機能付き歯ブラシの開発に取り組んでいます。主な機能は口臭ガスから口腔内コンディションを測定し歯周病リスクの判定を行います。またそのデータをもとに弊社の専門家が3ヶ月に一度レポートをお送りしアプリ内での相談も可能にしました。口腔内のコンデイションを視認化することでメインテナンスとの相性もよく、今後は富士通クラウドとの連携も検討しています。
新Webサイト及びサービス導入に向けた詳細説明
クレセル株式会社
クラウドシステム全般と新サービスの意義と内容についてのご説明をいたしました。

終了【2021.1.28 開催】予防歯科Live 【オンライン】
詳細・お申込みは以下よりご覧ください。
https://keep28-cloud.com/seminar/20210128/